教育制度は学校と塾の共存で成立つ
公共教育制度の変遷で私的教育機関と言われる塾がその存在感を増してきた、とよく言われています。戦後の旧制中学の受験対策として現代の塾が生まれ、大学受験対策として、一気に全国に塾が作られ、それも今までのような教職者による塾経営から、大学在学生や異業種からの高学歴者移入による上場会社としての塾という塾業界が形成されていったと言われています。このよう教育制度の変化に受験生となる年頃の子をもつ親の不安・焦燥はいかばかりであったか想像に難くないと言えるかもしれません。そのような不安などを受け入れたうえで対応してくれるような塾が、親御さんにとってどんなにか有難く思えたことでしょうか。別の言い方をすれば、教育制度の変化による歪の緩衝材として塾がどれほどの役割を果たしてきたのかわかるような気がしませんか。もしこのような塾の存在が無かったらと考えると、現在多方面の業種の企業で中枢となって第一線で活躍している人たちには想像できないような混乱があったのではと考えずにはおれません。このような事情を分かってもらえれば、世間でよく言われる「塾は悪」などという言葉が出ようはずもありません。日本の教育制度は、公共教育機関と塾と言われる私的教育機関の持ちつ持たれつの共存関係の上に成り立っていると言っても決して言い過ぎではないのではと思えてなりません。